2022.08.05
検査の基礎知識(ねじ篇)
みなさんこんにちは♪HILLTOPの検査室で勤務しているTです🧚♀️
以前投稿したコラム、『ねじの仕組み・注意点』でも触れたように、ねじ(ボルト)は奥深いものです。
ねじ検査もこれまた、奥深いものとなります。
今回は
・検査ビギナーの方
・検査担当ではないけど、ものづくりに携わっている方
向けに、ねじ検査についてお話ししたいと思います🧚♀️
■メートルねじ用限界ゲージ について
図面でM5やM6と表記されているような一般的なねじ穴の検査は、『メートルねじ用限界ゲージ』を使用します。
◎めねじ検査の場合→ねじプラグゲージを使用
◎おねじ検査の場合→ねじリングゲージを使用
ねじはとても複雑な形状で出来ているので、『有効径』『ピッチ』『山の角度』『山の径』『谷の径』など、測定しないといけない箇所がたくさんあります。
でも、ねじゲージを使うと誰でも簡単に、短時間で正確な合否判定ができます。
検査室では、なくてはならない検査器具のひとつです!
□使い方
限界ゲージは通り側と止まり側の2種類が対となっているので、通り側が有効深さまで入り、止まり側が2回転を超えてねじ込まれなければ、検査合格です。
力を込めて、グイグイとねじ込むのは厳禁です。
現行JIS(ISO)と旧JISでは、止まり側のみ検査基準が微妙に違います。
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◎現行JIS
→2回転を超えてねじ込まれなければ、合格
◎旧JIS
→2回転以上ねじ込まれなければ、合格
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なので、ちょうど2回転までなら、現行JIS(ISO)なら合格。
旧JISなら不合格となります。
■管用(くだよう)ねじ について
管用ねじとは、主に配管の接合の用途で使用されるねじです。
・耐密性が求められる水道管やガス管など、液体や気体などが通る管を結合する管用テーパねじ
・配線ケーブルなどが通る管のような、耐密性が求められない機械部品の結合に使用される管用平行ねじ
の2種類があります。
管用テーパねじは、テーパの名前通り先がだんだん細くなっていく形状をしています。
そして、管用ねじの名称をまとめたのが下の図です。
パッとみて「管用平行めねじが2つある!?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
しかしこの2つは全くの別物です。
①管用平行めねじ(Rp, PS)
管用テーパおねじ(R, PT)と組み合わされる、管用平行めねじ。
管用テーパおねじと組み合わせることで、おねじとめねじがしっかり密着するため、耐密性が求められる箇所に使用されます。
②管用平行めねじ(G, PF)
管用平行おねじ(G, PF)と組み合わされる、管用平行めねじ。
前述した『M5』『M6』で表記されるメートルねじと同じく、ストレート形状となります。
管用テーパおねじ(R,PT)とは組み合わせることはありません。
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このように、使用する際の組み合わせが違うのですね。
■管用ねじゲージ について
図面でRc、PT…などで表記される管用ねじの検査は、『管用ねじゲージ』を使用します。
□管用ねじゲージの種類
『ANSI規格(アメリカ規格)』を追加した表を参考に見ていきましょう。
■突然ですが、ここでクイズです!
Q:なぜ、管用ねじゲージだけこんなに沢山の種類があるのでしょうか??
チッチッチッチッチ…チーン!! ⏰
A:実はそんなに種類はありません(えっ!?どっち!?)
実際のところは
①JIS規格に準じた管用ねじ
②ANSI規格(アメリカ規格)に準じた管用ねじ
この2種類だけなのです。その中でさらに、
・旧JIS規格に基づいたもの
・現行JISに基づいたもの
・おねじとめねじで表記が違うもの
があるため、数が多く見えるのですね。
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①管用テーパねじプラグゲージ
こちらのゲージは、切欠きがあるタイプのものになります。
メートルねじ用限界ゲージのように、『通り側』『止まり側』はありません。
ねじ記号によって切欠きの段数が異なります。
◎PT用→切欠きが1段
◎Rc用→切欠きが2段
◎NPT用🗽🍔→切欠きが3段
□検査方法
Rc 1/4 の検査の様子
どのゲージも、ねじ込んだ際に
・『最大限界位置(ハンドルに近いほうの切欠き)』と
『最小限界位置(先端に近いほうの切欠き)』の間に、検査する部品の端面がある
状態であれば、検査合格です。
②管用平行ねじプラグゲージ(G,PF)
メートルねじ用限界ゲージと同じく、『通り側』『止まり側』があります。
検査方法もメートルねじ用限界ゲージと同じです。
③管用平行ねじプラグゲージ(Rp, PS)
実は、『Rp』『PS』を検査する『管用平行ねじプラグゲージ』は存在しません!
じゃあどうやって検査を行うのかというと、『管用テーパねじプラグゲージ』の『R』『PT』で行います。
『Rp』『PS』のめねじ製品と接合されるのはテーパおねじなので、実際の使用環境と同じ方法で検査するということは、当然といえば当然ですよね。
■最後に…
ねじ検査ひとつにしても、
『どの検査器具を使用するのか』
『どうやって検査するのか』
などなど、人の手も時間もかかるものとなります。
「製品が出来上がれば、ものづくりは終わり!」
と思われがちですが、出来上がったあとの検査は必ず必要なものであり、検査工程も、ものづくりの大事なプロセスです!
そのことを胸に日々検査に励みますので、またこのコラムにてお会いできるのを楽しみにしています😌🎶