2022.07.08
工作機械のツーリング(オペレーター目線)
こんにちは。
工作機械(マシニングセンタ)の機械オペレーターを担当している、製造業14年目のIです👴
今回は機械加工を始めたばかりの人に向けて『工作機械(マシングセンタ)』について書いてみようと思います✊
4つの主軸テーパ部
マシニングセンタの主軸のテーパ部には、大別すると
・BT
・BBT
・HSK
・CAPTO
の4種類があります。
それぞれの詳しい構造や違いなどは、以下の参考サイトで詳しく説明されているので参照してみてください。
多分私が説明するより詳しくて分かりやすいです(^_^;)
ものづくりエンジニアのためのはじめの工作機械
いちオペレーターによる紹介と感想
このコラムでは
・規格化に至る歴史
・オペレーターとしての個人的な感想
を書いていこうと思います。
1. テーパシャンクの歴史
歴史についても下記の論文で丁寧に解説されているので、引用させていただきます📓
——–
ATCが可能なマシニングセンタは1958年にアメリカで開発され,日本でも同じ1958年に国内1号機が製作され,翌1959年には実用化された。
1969年には日本が世界に先駆けてATC用テーパーシャンクの業界規格として「BTシャンク」 規格を制定した(日本工作機械工業会企画:MAS規格).
海外では,1978年にアメリカ,1979年にドイツ,1983年に国際規格のISO規格シャンクが制定された. 開発国であるアメリカが規格化に遅れたのは,当時28種類ものメーカ規格が乱立していたため,標準化が 難しかったためである.
(中略)
業界規格の制定に早かった日本の「BTシャンク規格」は,1986年に国家規格(JIS規格)として制定された.世界各国で活躍しているBTシャンクではあったが,国際規格である ISO規格には中々盛り込まれず,2007年にようやくISO規格として制定された.
精密工学会誌 2011 年 77 巻 4 号 p. 373
「はじめての精密工学 ツーリングの基礎と機械精度の管理」
蝦草 裕志
(https://www.jstage.j st.go.jp/article/jjspe/77/4/77_4_372/_article/-char/ja/)
——–
現在でも、ものづくり業界では様々な規格のもとで製品が製作されており、個人的には全てを統一して欲しいと思っていました。
図面の書き方、単位、機械規格など覚えることが多いですよね …😓
しかし
「これでも長い歴史をかけ、随分と規格の統一に向かって進んで来たのだなぁ…😑」
と思う今、改めて先人の皆さまの努力や情熱に頭が下がる思いです。
2. ツーリング別使用感の個人的感想
日本にも様々なツーリングメーカーがありますが、マシニングセンタのツーリングのテーパ部分は
・BT
・BBT
・HSK
が採用されていると思います。
そこで「BT・BBT(二面拘束)」と「HSK」を実際に使用してみた個人的感想を挙げさせて頂きます(あくまでも個人の感想です)。
BTに比べBBTは
・剛性が強く
・ビビりが起こりにくく
・精度もいい
というイメージです。
しかし主軸にホルダーをセットした時、本当に二面とも密着しているのか不思議に思っています🤔
主軸テーパ精度とホルダー精度が担保されていないと、二面が密着することは起こらないですよね。
そして、現実の主軸とホルダーの
・テーパ部の加工精度
・温度による膨張
を考えると、二面とも密着してはいないと考えるに至ります(あくまでも個人的な考えです)。
しかし、BTに比べて実際に剛性が良いと感じることについては、熱で主軸のテーパ部が膨張してホルダーを引き込み、ホルダーフランジ部でしっかり固定しているからなのではないかと考察しております🤔(間違っていたら、すいません…)
「少し価格が高いから剛性がいいはず!」
と思い込んでいる訳ではありません、絶対に。
HSKも
・高速回転
・高精度がいる金型加工
に向いていると言われていますが、BBTとどの位違うのか、実感値として未だ私自身分かっておりません😶🌫️
ただ一つはっきり言えることとしては、BT・BBTと比べてプルボルト(プルスタッド)が要らないということは、大きな利点だと思っています💡
まだまだ知らない事が多く日々勉強が必要なものづくり業界ですが、
最近はそれが面白いと思うようになりました。
これからも楽しんで成長して、いい製品を作っていけたらと思っています。