2022.06.10
穴加工について(ドリル編)
マシニングセンタで色々な部品を加工していると、
穴ひとつとっても
「いつもと同じように加工しているのに、斜めに穴があいてしまう」
「工具が折れてしまう」
など、加工が上手く出来ずに悩むことがあると思います。
今回はその中でも『ドリル穴』について、加工方法や加工時の注意点を、
製造業界・入社3年目の私、Tが、今まで経験した失敗例も交えて
いくつかご紹介します!
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穴、とは?
まず「穴」とは何でしょうか(哲学)。
穴の用途について考えてみましょう。
■穴の用途
・他部品と組み合わせるための穴(ドリル穴 / ねじ穴)
・部品を組み立てる際、基準にするための穴(公差穴)
・空気や液体の流路のための穴
それでは本題の「穴加工」について説明していきます。
■穴加工
基本的に、どの役割の穴も同じ順序で加工します。
① センター穴をあける
【刃物例】センタードリル(モミツケ)
② ドリル穴をあける
【刃物例】ドリル
③ 用途に合わせた穴加工をする
【刃物例】エンドミル
■ドリル穴とは
ここでは、
「ドリルで加工した穴」
「図面に公差指定がされていない穴」
のこととしています。
穴に関して整理したところで、いよいよ本題の「穴加工について」です。
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穴加工時の注意点
■加工時の注意点
ドリル加工をする前にセンタードリルでセンター穴をあけることで、
位置精度の高い穴をあけることができます。
ポチッとな
逆に、センター穴をあけずにドリル加工を行った場合。
加工は可能ですが、ドリルの先端は切れ味もあまりよくないので
「先端が流れてしまい、思った位置に穴をあけることが出来ない」
「穴が曲がって加工されてしまう」
ということが起きたりします。
最悪の場合、「ドリル自体が折れてしまう」という事もありました。
よくあるドリル加工の失敗例
A. 斜めの穴加工
面に対して、斜めに穴をあけなければならない場合があります。
過去の私は、次のような失敗をしてしまいました。
①面に対し、センタードリルでセンター穴を加工をする
②ドリル加工をする
③センター穴が十分に加工されていないため、ドリルが流れてしまい、
真っ直ぐな穴をあけることができない
斜面にドリルの片側だけが当たるので、ドリルが流れてしまう
では、どのようにすれば真っ直ぐに穴加工が出来るのでしょうか?
ここでは、私がたどり着いた3つの方法をご紹介したいと思います!
1、先に穴に対して垂直な面を作り、穴加工をする
※材料に垂直な面を作る大きさの余裕がある場合
①エンドミルで垂直な面を作る
②センター穴をあける
③ドリル加工をする
④エンドミルで材料を除去する
この順序だと、真っ直ぐな穴加工をすることが可能です。
2、エンドミルでガイド穴を加工しておく
※材料に垂直な面を作る大きさの余裕がない場合
①エンドミルで、ドリル径の約1.5倍~2倍ほどの深さの穴を加工する
②それをガイドとして、ドリル穴を加工する
3、フラットドリルで加工する
斜めの面でも真っ直ぐに加工できる「フラットドリル」というものがあります。
各ツールメーカーから販売されているため、そちらを使用する方法もあります。
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B. 交差する穴の加工
空気や液体の流路になるような穴に多い形状です。
このような穴を加工する際は、穴が交錯した瞬間に、
刃物にかかる左右の負担が変わるため
・斜めに穴があいてしまう
・ドリルが流れて折れてしまう
といったことが起こり得ます。
ドリルが曲がってしまう!
では、どうすれば加工できるのでしょうか?
1、負荷に強い!エンドミル
この場合はドリルでは無く、エンドミルで開けることをオススメします。
エンドミルは切削加工の基本となる刃物で、
さまざまな形状の穴を削るのに適しています。
ドリルに比べ剛性が強いため、このような加工でも、
正しい位置に真っ直ぐな穴加工が可能です。
2、フラットドリルで加工する
なおこの場合でも、フラットドリルを使用することは有効です。
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今回ご紹介した内容は、過去に私自身が実際に困ったり、悩んだりしたポイントです。
少しでもこの記事が、同じように加工で困っている方の助けになれたなら嬉しいです!
まだまだ紹介しきれていない穴加工のいろはもありますので、それらについてはまた機会があればご紹介したいと思います。